
日々是拉麺 Day6 和醸良麺 すがり
3月4日、14:21。
日差しの暖かな昼下がり、わたしは京都駅に降り立った。寒くはないものの、古都に息づく「わびさび」を
冬景色に重ねられるような、穏やかな土曜日。
京都駅は、中国から来たと思われる大量の紙袋を引っさげた一行や、
今日も観光客がすごいわねぇと余裕を見せる地元民
京都の観光スポットは、応仁の乱があった影響もあり、大半が京都の周縁に点在している。
伏見稲荷大社、清水寺、祇園、八坂神社、平安神宮、銀閣寺、北野天満宮、金閣寺、龍安寺、仁和寺、嵐山…
そのため観光客は、京都駅からバスに乗って出かけていく。
修学旅行中の中学生ともなれば、行動をともにする班のメンバー(厳密に言えば女子)に対して、的確に乗るべき市バスを指示できれば、ヒーローになれるといった具合だ。
しかしバスから見える京都は、一面にすぎない。
本当のおもしろさは、街を歩き、路地裏を覗いてこそわかるというものだ。
特に古都・京都には、「古きよきもの」と「新しきよきもの」の融合を目指す店舗が多い。
そして、そうしたこだわりのある店舗ほど、なぜか隠れたがる。少なくとも路線バスの車窓からはなかなか見つからない。
今回のお店も、路地裏の京町家に隠れながら、伝統と革新を極めているという。
それであればバスや地下鉄に乗るのは愚の骨頂というもの。
わたしは静かに烏丸通りを北上し始めた。
歩くこと20分。にぎやかな四条通りからするりと路地裏へ。
きっと「9と4分の3番線」に行くときも、こんな感じなのであろう。
「和醸良麺 すがり」
一本向こうが四条通りとは思えない静けさの中に、そのお店はたたずんでいた。

くぐり戸を抜けて、通り庭を奥まで進む。
ここで食券をポチるのだが、券売機はタッチパネルの最新式。
ねじ込まれたかのような現代感である。
その後、建物の裏から入る形で入店。
人気店だが、昼営業の終わりかけということで、程なくして着座することができた。
「洗練」という言葉が似合う店内。
見上げれば、歴史を物語るような梁たちが空間を支え、
その空間にLEDの間接照明やスポットライトが演出を加えている。
もともとはどんな人が住んでいたのだろうか、と物思いにふけっていると、
今日の一杯が到着。

これはおいしそうだ。さぁ食べようと思った矢先、あることに気づく。
「はて、箸がない…?」
卓上を見てもそれらしきものはない。
店員さんが忘れたのかな。ちょっと声をかけてみよう。「s...
Σ(゜□゜;)!!!!!!!!!!!!!!!!!!

こういうのを人は、ファインプレーと呼ぶ。
なるほど。洗練されすぎていて、二郎ばっか行ってる関東人には想像もできなかった。 もし「すんませーん、箸もらえますか?」なんて聞いていたら、今頃この記事はない。改めて箸を取る。店員さんに声をかけようとしたことなど、微塵も表に出さずに。
きっと逆隣のお客さんからは、慣れた手つきで箸を取り出したように見えたはずだ。
まずはスープを一口。
くどさを全く感じさせない、やさしく濃厚なスープ。
魚介の香りがふんわりと伝わってくる。 後から知ったのだが、このお店を含めた系列店のコンセプトは「医食同源」だそうだ。納得のいくまろやかな味わいである。
そこに合わさるのは、蕎麦のような麺。
なんとも不思議な味わいだが、スープのやさしさによく合っている。
そして主役であるもつ。 タレがしみこんでいるので、それだけでもおいしく食べられる。
しかも脂っこくないのでパクパク食べてしまいそうだ。
しかしこのもつは、魚介が溶け込むスープに肉汁をもたらすことで、絶妙に調和を乱す役割を持っている。
序盤で食べつくしてしまうのはあまりにもったいない。

軽く炙りが入っており、その甘みがよく引き立っている。
おそらくこの一杯の中では、「伝統」の部分を担っている。
麺、もつ、ねぎと食べ進めていくうちに、
スープに沈んでいた魚介のうまみをより強く感じられるようになり、
ラーメンは違った顔を見せ始める。
もつからあふれ出した肉汁に加えて、最後に魚粉を忍ばせているとは。
京都の奥深さ、伝統と革新の融合を堪能できる一杯なのであった。ごちそうさまでした。
※この後、自分までも洗練された気持ちになって店を出ようとしたが、
くぐり戸の存在をすっかり忘れていて、危うく激突しそうになるのであった。
ε= 店 ε= 舗 ε= 情 ε= 報 ε= ε= ε= ε= ε= ε= ε=┏( ・_・)┛
和醸良麺 すがり京都府京都市中京区観音堂町471-1
MAP:https://goo.gl/maps/yBX8g7eV4rm┗(・_・ )┓= 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3 = 3
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この記事を書いたレポーター

- ハヤテ
- つれづれなるままに、日ぐらし麺に向ひて。そう、人生の数だけ、ラーメンがある。